How to ニュージーランド

ニュージーランドのオークランドや各地について、観光地、カフェ、レストラン、ワイナリーなど旅行に役立つ情報を発信しています。

ニュージーランドの新型コロナ禍を振り返って。警戒レベル2へ

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Kia Ora(キオラ)!

今回は、2020年になってからのニュージーランドの新型コロナ感染拡大防止とその他経済の対策、何が起きていたかを記録するため、私の周りで見た聞いたことをメモ代わりとして記載していきます。

1.   2020年1月からロックダウン開始まで

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NZ首相Jacinda Argernさん(左)、健康省ボスAshley Bloomfieldさん(右)

2020年5月現在、全世界で感染が広がっている新型コロナウイルス「COVID-19」。ニュージーランドでは警戒レベルが4から3、2と下がりましたが、まだまだ油断を許さない状況です。ニュージーランドの新型コロナの対応としては、その大胆な政策が世界的に絶賛されるといったことがありました。

 

中国で感染の拡大が始まった2020年1月、中国側では団体のグループ旅行が禁止となりました。この時点では個人旅行者は通常通りNZに入国していましたが、世界各国で感染拡大が始まりだした2月頃には、早い段階で中国からの入国を完全に禁止としました。これには違う国から中国を経由した場合のどの国籍の旅行者も含まれました。この頃から、中国人観光客がいなくなったせいか、NZ各地の観光地では例年より観光客の数が激減し始め、一層静かになっていきました。そして、2月28日には、NZで1件目の感染者が確認されました。3月4日には2件目の症例報告が確認され、日が経つにつれて、徐々に感染者の数は増加していきました。

 

感染者の数は増加の一途を辿り、このままでは人命、経済、国全体の危機に陥るということで、NZ政府は3月20日に国境を閉じることにしました。海外勤務ややむを得ない事情で海外にいたNZ人などは例外とし、基本的にNZに入国することはできなくなりました。そして、3月23日には、48時間後に警戒レベルを最高の4とし、国全体でロックダウンを始めるという大胆な施策をすると発表しました。この決断はあとで功を奏したと言えるのか、まだ新型コロナ禍を乗り越えたわけではないので、はっきりとは言えませんが、ひとつだけ言えるのは、とてつもないスピードで国の未来を決めた、ということです。

 

 

2.   警戒レベルは最高の4に。ロックダウン突入

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ロックダウン中、人のいないオークランドシティ中心部の様子

そして、3月25日から国の警戒レベルが最高レベルである4となり、ロックダウン(都市封鎖)が開始されました。その間は、基本的にStay home(ステイホーム)ということで、決められた職に就いている者以外は、食料の買い出しや散歩以外には家にいることが義務付けられました。リモートワークで仕事が継続できるとこはリモートに移行し、それ以外はエッセンシャルワーカーと呼ばれる生活に必要な事業に携わっている方のみ働くことができました。会うことができる人は同じ家に住んでいる人のみ、友達と会うことすら禁止という状態でした。屋外やスーパーでは、ソーシャルディスタンスを2m保ちましょうということが強調されていました。

 

 

3月末にはニュージーランド航空の日本行きが6月30日まで欠航することが決まり、駆け込み需要で日本行きは混みあっていたようです。実際、ワーキングホリデーや学生ビザで来ていた方で、滞在の予定を変更早めて、帰らざるをえなかったという人はたくさんいました。同時にオークランド空港は、搭乗する本人のみしか空港ターミナル内に入れなくなり、入る際はスタッフにパスポートと有効なEチケットなどを見せなければいけないという状態だったそうです。

 

ロックダウンが始まってから、食料の調達に必要なスーパーマーケットやタクシーなどの交通網、電気や水道といった生活インフラを支えてくれる方々のみが労働されていました。スーパーマーケットでは、入口でアルコール消毒、入場者数を制限、2m間隔で入場待ち、店内には2人以上で入らない、買い物時間を30分以内に、レジには透明のアクリル板設置といった対策がすぐにされました。普段、海外の人は日本人のようにマスクをしませんが、スーパーにはマスクをした人々がたくさん見かけられました。蜂の巣を取る格好で来たり、2mのメジャーを持ってスーパーに現れる人もいましたね。

 

エッセンシャルワーカーの方々には全員ではありませんが、エッセンシャルワーカーであることを証明するID(身分証)なども配布されました。ロックダウン期間中は、むやみに遠出したり、友達に会いに行ったりと、外出禁止令に違反をする人を監視するために、警察がパトロールをしていたので、エッセンシャルワーカーはその時にIDで証明できるようにというものです。実際にロックダウン中に違反をしたという人々は800件にものぼりました。NZ政府のサイト、下のリンクで誰でも報告することができました。

・Covid-19 Level4 breach report

https://forms.police.govt.nz/forms/covid-19-breach

 

 

3.   警戒レベル3、そして2へ。お店は徐々に再開

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道端に記されたソーシャルディスタンス表示と人に優しくしましょうという表示

ロックダウン開始後、すぐは新規感染者の数はしばらく増えていましたが、徐々に減少し、一桁台の数字となっていきました。当初の4週間のロックダウンの予定は5日間ほど長引き、警戒レベルは3に下がりました。レベル3は4月27日から始まり、それまで営業のできなかったカフェやファーストフード店などがテイクアウェイ限定でオープン、マクドナルドやKFCといったところでは行列ができるといった光景もありました。マクドナルドには、深夜3時から朝のオープンを待つ人々がいたとニュースになり、約1ヶ月ぶりのジャンクフードを懐かしむ人が多かったです。

 

しかし、その後もそれ以外の職種の方は引き続き、ロックダウンの状態と変わらずの生活となっていました。学校のほうは、基本的に休校となっていましたが、オンライン授業の導入も早く、教師の方々は画面越しに生徒に授業をするといった形を取られていました。そして、5月4日には新規感染者数が警戒レベルが上がってから初めて0件を記録しました。その後は感染者は0件が毎日ということにはなりませんでしたが、0に近い数字が続き、同時に人々は自然とソーシャルディスタンスを意識するようになって、確実に人々の自分と周りを気遣う行動は芽生えていました。

 

5月14日には、警戒レベル2に下がり、ほとんどの業種のお店は営業を再開しました。中には旅行代理店などのような大打撃を受けた観光業に携わるお店は、ロックダウン中に閉鎖を余儀なくされた会社もありました。観光業以外にも、バーガーキングなどもオークランドシティ中心部の店舗をいくつか閉鎖するといったこともありました。学校は翌週から再開、バーやパブなども21日から再開となりました。店内の飲食も可能になるということですが、1グループは10人以下という条件がしっかりついています。理髪店なども営業再開した為、髪を切ることのできなかった人々が行列を作るといったこともありました。そして、この5月14日には、新規感染者数が3日連続で0件になるという結果も出ています。

 

各お店では、入店の際に新型コロナの感染源対策や追跡調査のため、入店記録をつけるようになっています。単純に紙とペンが用意され、名前や連絡先を記入する形です。また、オンラインを利用したCovid-19 Registerという入店記録を残すシステムもあります。どこで感染したか、誰と接触したのか特定することもできますし、自分と身近な周りの人、国を守ることに繋がりますので、皆さん喜んで協力しています。

 

 

4.   休業補償、政府の経済対策

ロックダウンをすることによって営業停止、労働ができなくなってしまった国民へは、国の雇用維持給付金という形で休業補償が出されました。対象は、影響を受けた会社に従事している者、フリーランスの方を問わずで、条件は前年度の30%の利益を下回った場合です。週20時間以上勤務のフルタイムは週ごとに585.80ドル、それ以下のパートタイムは週ごとに$350.00ドル支給されるというもので、期間は12週間分でしたので、フルタイムの場合で一人当たり約7000ドルが補償されました。申請はオンラインからIRDナンバーという納税番号や生年月日、従業員の数などの簡単な入力のみで、申請後数日ですぐに支払われました。

 

この休業補償も4月に入る前の3月末には既に始まり、オンライン申請すると、12週間分をまとめてもらえるというものでした。もちろん、条件を満たさない場合は後々、確定申告などでわかりますから、その場合は返金などになるのでしょうね。実際にこれを申請してから、政府に補償金を返したといった企業はいくつか報告がありました。また、補償金をもらった会社が、従業員に払わずポケットマネーにするといったケースも多々報告されました。

 

しかし、この施策で良かったところは、実際に補償金をもらった企業名を、NZ政府が用意したオンラインサイトで確認することができることです。企業名を入力するだけで、その企業が何人分、いくら補償金をもらったかを実際に確認することができます。下記にリンクを貼っておきますので、気になった方は見てみてください。

・COVID-19 Wage Subsidy Employer Search

https://services.workandincome.govt.nz/eps

 

また、レベル2になってから、ニュージーランド政府は新たに$50Bilion(500億NZD、日本円で3兆円以上)というNZの歴史上最も高いと言われる額を経済対策として支出するといった発表がされました。これには休業補償制度が、Wage Subcidy Extensionということで、必要な企業や個人には延長されるといったことも含まれており、6月10日から期間は8週間分となるということでした。特に大打撃を受けている観光業を始め、まだまだ国境が開かない限りは、復活しない産業で働く人々への救済措置となります。同時に若い世代へ無料の職業訓練の機会を設けることなども含まれていました。

 

また、国境が閉鎖したことでたくさんあった航空会社の飛行機は飛ばなくなり、容易に母国に帰ることはできなくなりました。同時にロックダウン開始から7月9日までに現在のビザの有効期限が切れる場合は、自動的に9月まで延長されるといった例外的なことも行われていました。今後、更にビザ関連は特例が出てくるかもしれません。

 

 

 

2020年5月現在、感染者や死亡者数が減って、落ち着きを取り戻している国も出てきましたが、まだまだ新型コロナの脅威は消し去られていません。NZでは感染拡大の第2波が起きれば、また警戒レベルが上げられ、ロックダウンに戻る可能性もありますので、これからも気を引き締めてルールを守った生活を心がけて行きたいです。